第242章

誰の胸の奥にも、ひとり悪魔が棲んでいる。

そして藤原邦達にとって、その悪魔そのものが藤原園歌だった。

島宮奈々未はゆっくりと手を持ち上げる。眼球は一度も動かさず、その指先だけが藤原邦達を指した。

「お兄ちゃん。私と震を引き裂いて、ずっと私を誤解させたままにした。だから一生悔やみながら死んだの。下は寂しいよ……来て。私のところへ」

「園歌……俺が悪かった。兄ちゃんが悪かった。すまない……っ」

藤原邦達は青ざめ、唇まで震わせる。

「わざとじゃない。お前のためだった。天瀬震と一緒になんかなれない。俺のほうが何もかも上だ。お前は俺といるべきなんだ」

島宮奈々未はびくりと身を震わせ、その...

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